天燈はまたの名を孔明燈と言い、三国時代の諸葛亮(孔明)が創ったと伝えられています。当初は戦況を早く伝えるために、熱気による上昇原理を使ってランタンが空中に浮かぶように製作されました。うその「星象(古代の占いに使われていた星周り)」の情報を作り出し、司馬懿の大軍をだましたと言われています。後に民間に伝わり、徐々に一般の人々が天に願い事をしたり祈願するための道具になっていきました。
天燈が平渓で上げられるようになった由来として、次の話が伝えられています。昔この地は辺鄙な山地で、盗賊が暴れることもありました。盗賊が現れると村人は山中に避難し、危険が去るのを待ちました。盗賊が去ると、村民は天燈を使い、家に帰れることを伝えたのです。時代が変わり盗賊が出なくなってからも、天燈をあげる風習は幸福祈願の象徴となり、この土地の民俗、儀式として残りました。毎年元宵節になると、平渓郷には数万人の人が押し寄せ、この儀式を盛り上げます。元宵節の夜、人々の願いを乗せた天燈が夜空に上っていく「千燈の一斉上げ」の光景は壮観です。台湾が世界に誇れる重要文化遺産でもあります。